ぜんぶ、しらないふり。







「…ねえ、もう行っていい?」

「同じ教室なのになんでばらばらに行く必要があんの?」

「すごい目立ってるから」

「友達になれるかもよ」

「勝手なこと言わないで」




ほとんど強制的に一緒に家を出て学校に向かった私と片岡くん。


家を出てからずっとこんな会話をしている。
あまりにも適当なことばっかり言うので、すでに15回はため息をついた。




そんなこんなで学校につき、校門を抜けたのがつい数秒前。


登校時間が被る生徒なんてたくさんいるわけで、“爽やか王子”の仮面をかぶった片岡くんの隣にこんな地味で普通な女がいたら、ファンの女の子たちの目に留まってしまうのは必然だった。




「あの子だれ?」

「王子の彼女とか?」

「彼女は清楚系の美女だって。笑顔がめっちゃ可愛いって噂の」

「あの子は違うでしょ。可愛いけど、王子と居ても全然笑ってないもん」