「これでキョーハンな。…おやすみ」
片岡くんがそう言って目を閉じる。
また夢の中に旅立つつもりらしい。
「っ、こら!ねるな!」
「るせー…マジでまだ間に合うから」
「いいから起きろって言ってるでしょ!」
彼のおでこにデコピンをして身体を離す。
片岡くんは「いって…」と言いながらおでこをさすっていた。
共犯になんかならない。
『おやすみ』はさせない。
確かに、起きて着替えて歯磨きをするだけだったら間に合うかもしれない。
けれど、私はチカさんから片岡くんを起こすように頼まれているし、何より朝からあんなにおいしい朝ご飯を食べられる環境を無駄にするのは許せないのである。



