「面倒だからさっさと起きて」
「…起こし方に愛がねーなぁ…、」
起こすのに愛なんて必要あるか。
「んー…」と伸びをする片岡くんを横目にそんなことを思う。
片岡くんがようやくうっすら目を開けた。
「…眩しー」なんて呟いている。
いいから早く起きてくれ。きみが自力で起きてくれたら私がこの部屋に入る必要もないんだ。
「じゃあ私戻るから。朝ご飯用意されてるから早く降りてきなよね」
そう言って、眠たそうに目をこする片岡くんに背を向け部屋を出る。
それが、いつもの流れだった。
───が、しかし。
「ねー…まってよケートちゃん」
今日はちょっとだけ違った。
部屋を出ようとする私を片岡くんが呼び止めるのは、この1週間で初めてのこと。
「…なに?」
「んー…ちょっと、こっち」