「佳都ちゃん、八樹のこと起こしてきてもらえる?」
「……はあい」
「ごめんねホント、あの子寝起きが悪くて」
チカさんが作った朝ご飯をテーブルに並べていた手を止めて、リビングを出る。
片岡くんのお家にお世話になるようになって1週間。
私の朝は、チカさんとのこの会話から始まるのが、早くも日課になっていた。
(…ホント、めんどくさ)
毎朝起こしに行くのは正直面倒だ。
とはいえ、この家にお世話になっている以上、チカさんのお願いごとを断るわけにもいかなかった。
階段を上り、《YATSUKI》のプレートがかかって部屋のドアをノックする。
1週間も続ければ、返事がないことにも慣れ始めてしまうもので、だ。
はあ…とため息をつき、私はそーっとドアを開けた。