「…わかった。脅されたから友達になってあげる」
「言い方」
「本当のことでしょ」
人生で2番目にできた友達、片岡八樹くん。
学校では学年一の爽やか王子。
仮面をとったら腹黒毒舌クズ野郎。
そんな彼は、私の泣き顔が見たいらしい。
正直、すごくきもちわるい。
新しい生活が始まろうとしている。
刺激は全然求めていないけれど、私がしらない世界には、少しだけ興味がなくもない。
仕方ないから、友達になることは受け入れてあげよう。
「そろそろリビング戻るか、佳都ちゃん」
「呼び捨てしないで。許可してない」
「俺のことも八樹でいいよ」
「片岡くん」
「つれないねー佳都ちゃん」
「片岡くん」
「…はいはい、涼風さん」
───泣き顔は、ぜったい見せてあげないけど。