ぜんぶ、しらないふり。






「…面倒なことになるのはごめんなの。だから言わないで」

「…ふうん?」



なんだ、そのにやついた顔は。
まるで何かを企んでいるようにも見える。



「涼風さんって冷めてるよね」

「よく言われる」

「血流れてる?」

「心配されなくてもちゃんと流れてる。私だって笑うし泣くよ、普通に」

「泣く……、ね」




ぽつり、そう呟いた片岡くんがベッドから立ち上がった。

スーツケースを開けている私の隣にしゃがみこみ、わざとらしく名前を呼ぶ。




「ねえ。俺、"対等な"条件 思いついちゃった」

「……、なんの話?」

「俺らのひみつの話」



にっ と口角を上げ、聞きたい?と言わんばかりの表情をしている。

緩んだ頬がどこかムカついて仕方がない。