ぜんぶ、しらないふり。






「1年も住むんだし、全部自分仕様に変えていいってチカちゃんが言ってた」

「そっか…ありがとう」

「ちなみに向かいの部屋はチカちゃんと父さんの部屋だから」

「あ、了解」

「あとなんか聞きたいことは?」



ちゃっかりベッドに座っていた片岡くん。「今のところは大丈夫かな」と返すと、「そ」と短く返事をしてくれた。


本当に今日からここに住むのか…。
全然実感が湧かないな。


お母さんと1年も会わずに、この家で本当にやっていけるだろうか。

…なんて、いまさらそんなことを言っても仕方がない。


ふう…と小さくため息をつき、持ってきたスーツケースを広げる。



「なぁ」




不意に、片岡くんが口を開いた。