ぜんぶ、しらないふり。





「ごめん。急用できた」

「えー、そっかあ。残念…また遊んでね」

「気が向いたらな」

「連絡先も教えてくれないもんねぇ。ホント、一緒にケーキ食べられただけで奇跡?お会計すましとくから」

「うん。じゃーね」




淡々とそんな会話を交わした2人。

ミルクティーベージュの髪の毛をなびかせた彼女は、「またねー」と言ってレジの方へ向かってしまった。


ふーん、お開きになったんだ。


───って、ぼんやりそんなことを思っていたんだけど。




「一人で食う量じゃねーだろそれ」

「は」

「俺にも食わせて」

「え、嫌だ」

「拒否んなよ。てか友達いるんだね、1人は」