ぜんぶ、しらないふり。






片岡くんはずるい。



「…おかえり」

「うん、ただいま」

「……、うん」

「佳都ちゃん」

「、」

「おいで、ほら」



それから 優しくて、甘くて、私のことをよくわかっている。

そんな声で言われたら 甘えたくなるに決まってる。「片岡くんのばか」って小さく呟いたらそれもご丁寧に届いてしまったみたいで、「佳都ちゃんは相変わらずツンデレ」って笑われた。


片岡くんの胸に飛び込んでぎゅうって力を込めて抱きしめる。欲しかった温もり。大好きな匂い。