「…片岡くん、」




寂しいよ、


呟いた声は、1番届いて欲しい人に届くことなく静寂に消えていく。


1人になるのが寂しかったのはもうずっと昔の話のこと。

家にひとりでも どうってことはなかった。全部'慣れ'がどうにかしてくれる、そう思っていた。



"寂しい"という感情が再びつよく出てきたのは、確実に片岡くんのせいだ。1人でご飯を食べることも無ければ、朝起きて誰もいないことも無い。

休日に1人で過ごすことも無くなった。


「好き」も「会いたい」も「寂しい」も、感じる相手はぜんぶ片岡くんにってしまった。感情ぜんぶ持っていかれた気分。


……まあ、思い返せば最初から最後そうだった、わけだけど。