ベッドを背もたれにして横並びに座っているのは、テーブルが横長だったから。それだけの理由だったけれど、冷静にもっと頭を働かせればわかる事だった。
向かい合って座るべきだった。
彼が部屋に入ってきたところまで巻き戻したい。
距離が近い。片岡くんがペンを持って私の前に広げられたノートを指す度に心臓が破裂しそうだ。
私の顔が赤いことを知った上で「わざと」やって来ている。勉強に関係ないことはするつもりは無いのに、どうしたって意識してしまう。
計算高い男。
私の意識全部、簡単に持っていってしまうような男。
「ねー、佳都ちゃん」
カタ…と小さく音を立ててペンを机に置いた片岡くんが、テーブルに頬杖を着いて私を見つめた。
右手が伸びてきて、そっと私の髪を耳にかける。指先が頬を掠め、ピクリと方を揺らす。



