「顔あか」
「…言わないでよ」
「照れてんだ。かわいーね」
やだやだ、恥ずかしい。
ふいっと顔を逸らすも、片岡くんの右手に捕まった。
両頬を挟まれて、唇がサイドから押し潰される。
な、なん、……なにをしているんだ。
「にゃ、」
「にゃ、って。かわいー」
バカにされている。よくわかんないけど、多分すごいからかわれている……気がする。
「佳都」
「む…、」
「名前 呼んでよ。八樹ってさ」
「ぬ、」
「何言ってるかわかんない」
それはその手のせいでしょうが。
「すごい、なんかマスコットみたい」
「……」
「ごめんって。怒らないで」
ははっと楽しそうに笑う片岡くんがようやく手を離した。「サイテー…」と呟けば、「はいはい」って軽くあしらわれる。
