寝起きのくせによくしゃべる。
もう脳は起きているし目も覚めているはずなのに。



「……、」

「佳都ちゃん」




何も言わなくなった私の名前を呼び、片岡くんが布団から顔をのぞかせる。

目元しか見えていないのに、まるで「素直になりな?」って言われてるみたいだ。




「…ご飯、冷めるのやなんだけど」

「うん。俺のこと起こして」

「起きてるじゃん…」



寝起きが悪くて困る。
ご飯が冷めるのも嫌。


だけど───…




「───…おいで?」




その甘さを含んだ声で誘(いざな)われるのは、好きだ。