ぜんぶ、しらないふり。






「佳都ちゃんのそれ、ホントよくない。悪い。極悪人」

「ごくあくにん…、」

「家帰ったらいっぱい時間あるから。それまでいい子にしてな」




ちゅ、と触れるだけのキスが落とされた。

「な?」と、まるで小さい子に言い聞かせるみたいにそう言われて口を噤む。



…今のは、ずるいと思う。




幼稚園児の恰好をしていることもあり、なんだか本当にあやされているみたいだ。

片岡くんの言葉に小さく頷けば、彼は柔らかく笑った。