ぜんぶ、しらないふり。





「っ、ん、片岡く…っ」

「…足りない」

「っ」

「…ぜんぜん足んない。どうしよ、俺こんなに欲しがりだったっけ」




唇の形を確かめるように何度も角度を変えて重なるそれに、呼吸さえもままならない。


片岡くんが私を求めてる。
行動で愛を伝えてくれる。



好きだ。この人が好きだ。


想いがあふれて止まらない。

片岡くんの制服をぎゅっと握って目を閉じる。


もっと触れていたい。もっと欲しい。
私も、ぜんぜん片岡くんが足りないみたいだ。