「…、か、たおかく…」
男子トイレから出てきたのは、たった今口にした名前の彼だった。
「なんだおまえ。だれだ?」
「んー…王子様ってやつ?」
「へえ。いうねぇクソガキ。なめてると痛い目───…っ、」
私の腕を押さえつけていたが手が離れる。
もうひとりの男の人は目を丸くしてその様子を見ていた。
目で追うことができなかったけれど、どうやら片岡くんが強烈な蹴りを入れたようだ。
「俺、これでも生徒会やってんだよね。こういう問題ごとはすぐ学校側に伝わっちゃうんだよー?」
よろめいた男がチッと舌打ちをする。
「お、おい行くぞ!」と情けなく声を上げ、2人の男は走って逃げて行ってしまった。