ぜんぶ、しらないふり。





メイナが選んだ席は、まさかの隣の席だ。

窓際に沿った席で、私の位置からだと、女の子は後ろ姿しか見えないけれど、片岡くんの顔はばっちり見えた。


幸い、片岡くんはまだ私たちの存在に気づいていないようだった。

気づかれたところで何が嫌だとかそういうことではないけれど、私は王子が休日に彼女となにを話していようと興味がないのだ。


気づかれて声をかけられるのも面倒だし、あんまり顔は上げないようにして、視線も向けないようにしよう…。