ぜんぶ、しらないふり。






――って、そんなこと考えている暇はない。

響じゃないし、怖がらせちゃうかもしれないけれど───




「っかた、おか、くん…っ」




その声に、ごちゃごちゃ考えていた情けない考えは一瞬で吹き飛んだ。



彼女が助けを求めたのは俺だった。




「なーに、佳都ちゃん」




だったらもう十分だ。

俺が佳都ちゃんだけの“王子”になるのに、それ以外の理由は要らねーよ。