片岡くんと女の子がカフェに入っていく姿を見届けた後、メイナに腕を引っ張られるようにしてカフェに入る。


「空いているお席どうぞー」


店内に入ると、オン眉で金髪ボブの今時風のかわいらしい店員さんがそう言った。

メイナは「王子王子…」と呟きながら店内を見渡している。怖いのでやめてほしい。



「ねえメイナ、どこでもいいって」

「えーなんでぇ」

「近くに座ったところで話すわけじゃ──」




私の声が不自然に途切れる。

……うわあ、ホントに居た。

って、お店に入る姿を見ているしむしろ居なきゃおかしいんだけど。




「どしたの佳都」

「いや…、あっち座ろうメイナ」

「えー、待って王子を諦めたくな……って!え!あそこにいるじゃん!」



どうやらメイナも見つけてしまったらしい。

彼女は興奮気味にそう言って、「あそこの近く行こ!」と、再び私の腕を引っ張った。