人であふれる校内でたったひとりの人を探すことが困難であることはわかっていたものの、実際は想像以上だった。



シフトでは、片岡くんの自由時間は2時間あることになっていて、そのうち1時間は受付をしていたのでもう消費してしまった。

残り1時間。

この人込みの中で彼を見つけて、思いを伝えるまでを考えたらかなり焦ってしまう。




片岡くん、どこにいるんだろう。
だれと居るんだろう。


北村くんと日野くんと一緒に居ないとなると、彼の交流関係は未知の世界だ。


ここ最近まで“爽やか王子”だった彼は、教室では当然のことながら仮面をかぶって生きていたわけで、人との距離はどれも一定だった。

仮面が敗れてからは、教室では私に絡んでくることがほとんどだったんだ。