ぜんぶ、しらないふり。






───と、きめたはいいものの。




私の渾身の決意をあざ笑うかのように、片岡くんとは話すタイミングがつまめないまま時間だけが着実に進んでいった。



そもそも、お化け屋敷はシフト制で役割が割り振られていて、私とメイナの自由時間と片岡くんの自由時間は見事に真逆。

「一緒に回ろう」と声をかけるどころか、時間が全く被らないことで、それは物理的に不可能だった。



結局、片岡くんとは会えずじまいで交代の時間。


私たちは“血だらけの幼稚園児”の衣装に着替え、受付に座ってお客さんが来るのをまっていた。


文化祭がスタートしてすぐの時間は結構混雑していたみたいだけど、ラッシュが終わったのか、この時間の客足は比較的落ち着いていた。




受付の机に頬杖をついたメイナが私の顔を覗き込む。その瞳には心配の色がうかがえた。