ぜんぶ、しらないふり。








日野くんに送ってもらって家に帰ると、当然のことながら片岡くんはまだ帰っていなかった。



まだあの子と居るのだろうか。

顔は見えなかったけれど、雰囲気だけで可愛いことはなんとなくわかった。




今、こんな気持ちのまま片岡くんに会うのはなんだか気まずくて、チカさんには「少し体調が悪いので部屋で寝てます」と伝えた。


チカさんは心配してくれていて、「ごはん作っておくから、起きてみて もし食べれそうだったら電話でいいから呼んでね」と優しく言ってくれた。



電気もつけないままベットに横になり、抱き枕をぎゅっと抱きしめる。


あの女の子と片岡くんの関係を知るのがこわい。
何も考えたくない。

くるしくてどうにかなってしまいそうだ。



届くことのないきもちは、まどろみに溶けていってしまった。