「…あ、やべ」
他愛もない話をしながら歩いていると、ふと思い出したように日野くんが声を洩らす。
「母さんに買い物頼まれてたの忘れてた」
「買い物?」
「なんか、駅前のパン屋の食パン買ってこいってさ。涼風さん、時間平気?」
「時間は平気だけど…」
「帰りにちょっと寄ってもいい?涼風さん送ってからだと往復することになって面倒」
それをそのまま言葉にする日野くん。
私はもめごとが面倒だから、頼まれごとを引き受けたり自分の感情を殺してしまうことがよくあるけれど、日野くんはとにかく自分にとっての面倒ごとを嫌うタイプだった。



