ぜんぶ、しらないふり。






「佳都ちゃん、今日俺 放課後は別件で用事があって行けないから響に家まで送ってもらって」

「そうなの?わかった」



別件ってなんだろう。
よくわからないけど大変そうだなぁ。



「じゃあ俺あっちで仕事あるから」

「うん」

「頑張れよクソガキ」



片岡くんはそう言って私の頭に帽子を戻し、ぽん、と頭に手を置くと、すぐに自分の仕事に戻って行ってしまった。




「ふーん、愛だねぇ」

「…なにがよ」

「別に。早く進展することを願ってるわ。そろそろ着替えよ」



進展、か。

私と片岡くん、どちらかが動き出さないとこの関係は変わらない。



(…勇気はまだでないな、)


更衣室に向かうメイナの背中を追いながらそんなことを思った。