教室で普通に話しかけてくるようになった。
「涼風さん」じゃなくて「佳都ちゃん」と、皆の前でもそう呼ぶようになった。
言葉を選ばなくなった。
表向きの笑顔をしなくなった。
そうしているうちに周りはどんどん“爽やか王子”はもういないと気付きはじめた。
片岡くんは、「これでもうよくわかんないファンとかなくなるかな」と言っていたけれど、実際は全く逆。
「毒舌もたまらない!」
「全く相手にしてくれない感じが逆に良い」
爽やかの仮面を捨ててもなお、片岡くんの任期は圧倒的。本人は「まじでどんな趣味だよ…」とげんなりしていた。
片岡くんが堂々と私に話しかけてくるようになったことで、いよいよ私が片岡くんの彼女であるという噂が本格的になった。



