私たちの衣装のコンセプトは“血だらけの幼稚園児”。
ピンクのスモックに紺色のスカート。
黄色い帽子にチューリップの名札。
それらを赤い絵の具でド派手に汚したものが、私たちの衣装だった。
「メイナも可愛いよ」
「あんたの可愛いほど信用できないものはないわ」
「失礼な」
お互い物騒な幼稚園児の恰好のままそんな会話をしていると、かぶっていた帽子を誰かにとられた。
「あ」と、私の背後を見つめるメイナが声を洩らす。
背後からの登場はもう何度目だろうか。
「よく似合ってんじゃん」
振り向けば、帽子をくるくると回しながら私を見下ろす片岡くんの姿があった。