ぜんぶ、しらないふり。






片岡くんが、抱きしめながら私の肩に額を乗せた。

スリスリと少しだけ首を振るその姿がなんだか動物みたいで​───…



「……かわいい、ね」





自分の口から出た声にハッとなる。


完全に口が滑ってしまった。可愛いとか、ただでさえ男の子は言われて喜ぶ言葉じゃないのに。


よりによって片岡くんに言ってしまうなんて……怒られるかもしれない。




「…あの、ごめん」

「別に」


顔を上げた片岡くんと目が合う。
生徒会室で2人きり。


この至近距離は、かなり心臓に悪い。