ぜんぶ、しらないふり。





「…っ」


再び私のそばにしゃがみ込んだ片岡くんが そっと私を抱きしめた。

トントン…と背中を優しく叩かれ、それだけで ぶわぁっと 抑え込んでいた気持ちが溢れてしまいそうになる。



怖かった。すごく怖かった。
来てくれなかったら 今頃頬が赤くなっていた。



……良かった。
片岡くんが来てくれて、本当に良かった。




「……ごめんねケートちゃん」

「…、なんで謝るの…?」

「怖い思いさせたから。こういうのを防ぐために生徒会に入れたのに 全然防げなかったし。ごめん、俺のせいで」




片岡くんは悪くないのに。
謝る必要なんてない。

出会いがなんであれ、片岡くんの隣にいることを選んだのは私だ。


だから、きみのせいじゃない。