さっきの時間は幻?
言われた言葉は、言いかけた言葉は、ぜんぶ気のせい?
片岡くんの温度。抱きしめられた感覚。
ぜんぶが、私から離れてくれない。
意識しすぎちゃだめだ。
片岡くんも普通だし、チカさんの前ではいつも通りの私でいなくちゃ。
──って、そう決めた矢先。
「佳都ちゃん」
「ん、」
「俺はね、ケートちゃんに好きって言われたら多分 泣いちゃうかも」
片岡くんがそんなことを言うものだから、また心臓が高鳴ってしまうんじゃないか。
どういう意味が込められているかなんて知らない。
…それは多分、私がまだ気づけていない感情なんだと思う。
知りたい。
片岡くんの感情も、ぜんぶ私に向けてほしい。
「照れてんのもいいけど、やっぱ泣き顔見てーわ」
「っバカじゃないの」
「俺頭は良いんだよバーカ」
ーーー"トモダチ以上コイビト未満”
私たちの関係は、あまりにももどかしすぎる。