背中に回った腕が私を捉えて離さない。
両手が手持無沙汰で、どうしていいかわからなくて仕方なく同じように片岡くんの背中に回したら「ふ」って笑われた。
熱で弱ってた片岡くんはどこに行ったの?
いつのまにか腹黒毒舌クズ野郎に戻ってたの?
片岡くんはいろんな女の子と遊んできたから慣れてるのかもしれないけど、私は違う。
こうやって男の子と同じ布団に入ったことなんてないし、抱きしめられたことも、キス、ぜんぶ片岡くんとしたのが初めてなんだ。
くやしい。
私をからかって楽しむ片岡くんも、不覚にもそれにドキドキしてしまう私も。
ぜんぶ───きらいだ。



