はぁ…と、苦しそうに呼吸をしているくせに何を言ってんだ、このひとは。



そう思う反面、そんなふうに懇願されては断るのも気が引けてしまう。

チカさんの仕事が最近忙しいという話は私も知っていた。片岡くんなりに母親を気使ったのだろう。


けれど、このまま放っておいたら片岡くんが苦しいだけだ。




…しょうがない、か。

片岡くんの要望に頷くと、彼は腕をつかんでいた手をようやく離してくれた。



「ありがと、…ケートちゃん」

「別に」





弱っている片岡くんだと なんだか調子狂うんだけど……。