「なに?」
「…こっちきて、ほしい」
「…、はあ?なんで」
「ケートちゃん、」
やだよ、やだやだ。
だって片岡くん、迂闊に距離詰めると何するかわからないんだもん。
ーーって、いつもの私だったら断って部屋に戻るんだけど。
「…なに?」
柄にもなく拒否しなかったのは、多分、片岡くんが“いつもと違った”から。
片岡くんが私をからかう時の声は、いつも少し弾んでいる。
けれど今日はなんとなく違う。
確信はない。ホント、なんとなく。
ベットに近づき、片岡くんの顔を覗き込む。
頬はほんのり赤くて、目がとろんとしている。
いつもと違う片岡くんの正体。
それは多分───…
「片岡くん」
「…ん」
「熱あるでしょ」