爽やかイケメン王子――片岡八樹には、爽やかさの欠片もなかった。

自分がモテると自覚しているナルシスト。
腹黒。おまけに口が悪い。



「…本当に約束するから、もう離してくれない?」



いい加減開放してほしい。

放課後の生徒会室でイケメンと2人きりって、多分本来ならドキドキするシチュエーションだ。

それなのに、今の私にはドキドキの「ド」の字も当てはまらない。



かえりたい。
この5文字で頭の中は埋め尽くされている。



「……そんなに私のこと信用できないならなにか条件でも付けましょうか」



はあ…とため息をついた私がそういえば、片岡くんは「は?」と眉をひそめた。


…ホント、爽やかどころか怖いんだけど、このひと。