テテュスの箱舟

「あの子は6つの時から親の愛を無くして生きています。あの子の孤独から開放されるのは愛する人ができた時くらいでしょう」

いきなり飛び出した愛する人、という単語にドキリとする

ヴァレンティーナの肩が微弱に揺れ、カートはそんな彼女を微笑ましいという表情で眺める

その表情の意味するところをヴァレンティーナは察することが出来ないほど愚かではない

彼が本当にヴァレンティーナのことも、レッドのことも、テテュス号のことも全部大事にしたいと思っていることが伝わった

「そんな、恐れ多いですわ。
私、レッドさんに迷惑をかけてばかりなのに」

そう、ここに来てからヴァレンティーナはレッドに手間を取らせてばかりなのだ

そして今1番解消すべき問題─レッドの寝不足─についてこの船医に相談することにした