テテュスの箱舟

「そんなこと…」

「十分想定できる事態です。
貴女にはこの船の命運が掛かっていると言ってもいい」

カートの目は真剣で、それだけこの船の事を想っていることがわかる

それが痛いほど身に染みて、ヴァレンティーナは涙を堪える

泣くな。
泣いていい立場じゃない。
最善の行動を考えなくては

「まあ、貴女も頭の良い方だ。自ら危険に突っ込んで行くようなお人では無いでしょうし有事の際はレッドや船員達が身を呈して貴女を守るでしょう。」

それに、連れて来たレッドにも責任はあります。と苦笑いするカート

「これ以上ご迷惑を掛けないよう、慎重な行動を心掛けますわ。ご忠告、心より感謝します。
貴方が仰ってくれなきゃ、皆さんの好意にいつまでも甘え切ったままだったわ。」

あの平和な港町のスケールで呑気に海賊船で家出、なんて思い違いもいい所だ
それに気づかせてくれたカートに今は感謝しかない