「…それ面白いですよね。一気読みしたくなるの分かります」
「え?…あ、うん……面白い」
「邪魔しちゃってすみません…駅の近くにある図書館なら21時までやってると思うんですけど」
学校の図書室は、18時になったら担当の図書委員の人が鍵を閉めることになっていた。
この本はあと20分もあれば読み終えることが出来るだろう。帰りの電車で事足りる量だ。
けれどあたしは、"図書委員のイケメン"ともっと話したかった。このイケメンがリアルなんだって、実感したかったのだ。
そう、これは乙女心に妄想が混じったロマンだ。
「図書館どこにある?あたし、駅の方行かないから分かんなくて」
「あ。俺もこの後行こうと思ってたんで、良かったら一緒に行きますか?」
「いいの?ありがとう」
嘘だけど。
駅は毎日利用してるし、今日も帰りは利用するつもりだし、図書館の場所だって分かる。