「…俺は、先輩のそういう軽いノリ嫌いです」
「ノリじゃないってば。七瀬(ななせ)くんのことが好きだから言ってるのに」
「っそれが軽いって言ってんの!」
彼と知り合ったのは半年前。
派手な見た目とは裏腹に読書が趣味のあたしは、放課後 図書室が閉まるギリギリの時間まで本を読んでいた。
夢中でミステリー小説を読んでいて、もう少しで犯人が分かるというクライマックスに差し掛かった時。
「…あの、図書室閉める時間になっちゃったんですけど、」
控えめに話しかけてきたのが図書委員の彼だった。
黒髪が良く似合っていて、白い肌は透き通るように綺麗。170cmは超えているであろう背丈に、少し捲られたワイシャツの袖から覗く血管。
"図書委員のイケメン"とやらをリアルで見たのは初めてのことだった。