「私は千結様しか見えていませんから。
好みって言われても千結様ですし、特にタイプとかは…」
ないです、ときっぱり言う一条。
一条の声はさっきより大きい声でそう言った。
……私に聞こえるように?
ああ、やだ、どうしよう。
口元が緩む。ふっと口角が自然にあがる。
なんて嬉しい言葉をかけてくれるんだろう。
荷物を取り立ち上がりドアに向かう。
今日はいつも下ろしている髪をポニーテールしてあるので横顔で嬉しそうに笑っている私が一条から見えるだろう。
でも、そんなことは気にならないぐらい嬉しかった。
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