「い、一条……っ!!」
パッと頭に浮かんだ人物の名前を絞り出すように叫ぶ。
……助けて、っ。
もう無理だ。そう思った瞬間。
後ろから誰かに肩を抱き寄せられた。その手は私の体を半回転させて、自分の胸に私の頭を押し付けた。
……っ、この匂い。
顔を上げると、息を切らしている一条がいた。
「……っ、一条!」
「…汚い手で千結様に触んな」
一条は私が今まで1度も聞いたことの無い低い声で相手を睨みつけた。
イケメンが睨むと迫力がすごい。鋭い視線で男を睨むと、男はビクッと体が震えていた。
……目で殺せる。殺気でてない?
「……な、なんだよ!!」

