「……っ、千結様その笑顔は誰にも見せないでくださいね」


と一条が私に言ったので、意味がわからないと頭にはてなマークが乗った。

そのまま私は食堂に向かった。


「あ、一条さ〜ん!」

と家を出る前、桃井の声がした。それと同時に胸がズキンと痛む。

「これ、私がやっておきますねっ」

多分、一条がやる予定だった仕事を桃井がやっておくと言っているのだろう。
それに一条は「ありがとう」と微笑む。

……あんたも、その笑顔は誰にも見せないでよ。

桃井は顔を赤くしながらも「お気をつけて」と私たちに言って去っていった。