「…だ、だから。行かないで……」


語尾が小さくなりながらも絞り出すように言葉を出した。自分の手をぎゅっと握る。

すると、上からふっと笑い声が。チラッと一条を見ると私を見て愛おしそうに微笑んでいた。


「どこにも行きませんよ、お姫様」

と私に布団を被せ頭を撫でた。

……っ、お姫様って。
その言葉にどんどん顔が熱くなる。


「……そばにいてね、王子様」


と聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で呟いた。
一条は聞こえていたのか「…っ、」と言葉にならない声を出している。


……ああ、これもきっと、熱のせい。