一条は私の腕を軽く引っ張り自分の方へ抱き寄せた。目の前には一条の胸。
「そんなこと言われたら、俺だって本気になるんですけど」
「…っ、ぁぅ」
耳元で囁く一条。
一条の一人称が"私"から"俺"に変わる時は
─────オオカミに、本気になった合図だ。
顔に熱が集中するのがわかる。
熱が上がりそう。プシューっと沸騰しそう。
「まあ、今回は熱なので仕方ないですけど、危機感は持ってください。
ツンデレが急に素直で大胆になられたら誰だってこうなりますよ」
そんなこと、言われたって。
「行って、ほしくなかったもん……」

