裏切り姫と恋の病








なにこの男。

無視してるのに
さっきから一人で喋って、うるさいんだけど。



上を向いて出ている水を、体に流し込んでいたはずなのに。
隣にいる不良がうるさすぎて、口が水を受け付けなくなる。



「ただの家出なら、あんな危ないところで女が寝るな」


「……うるさい」


「なんだ、喋れるのかお前」


「あんたに関係ないでしょ。
 どっか行ってよ」



辛くて逃げ出したのに、ただの家出なんて。
よく知りもしないで、勝手に決めつけないでよ。



横で遠慮なしにタバコを吸っている男が動こうとしないから。

だったらこっちから退けばいい。と足を一歩前に出す。


すると。



「お前、虐待されてるのか?」


「ーーッ!?」


立ち止まって勢いよく振り返り、男を見る。




「真夏に薄汚れたタンクトップ姿で、しかも身体中傷だらけ。
 そんなもん"見てください"って言ってる様なもんだろ」


「別に……、てかさっきからペラペラ勝手なこと言わないで」