「着いたぞ」



街から抜け出し、人通りの少ない道へ入ったかと思えば。

草木で上手く隠れたガレージ倉庫を、さっきまで雲に隠れていた月がスポットライトを当ててるみたいに照らしてる。


こんなところに建物あるなんて、誰も思わない。



エンジンを切り、バイクから降りる葛西さんに合わせて、私も地に足を着けた。



「こんなところで話すなんて、聞いてないです。」


もうちょっと人目があるところで、話すもんだと思っていたのに。


男と二人っきりって、やっぱちょっと怖い。




「まあ言ってねーし?」


「……」


「ダイジョーブ大丈夫。
 取って食ったりしねーよ」


「……」


「あっ、食べていいなら遠慮なくもらうぜ?」


「いや、結構です」


「あらやだ、この子ってばつれないのね。」


「……」