裏切り姫と恋の病





だからこそ。

友達にも、好きな人にも嫉妬なんかしたくない。


二人とも、私の大好きな人だから。


唯が私を助けてくれたように。


花音だって、誰にも心を開かず教室の(すみ)で本を読んでいた私に対して。


唯一、私が心を開くまで、(ねば)り強く話しかけてきた人だから。


私は花音が好き、嫌いになりたくない。

唯のことだって……せっかく好きになれた人だから、嫌いになりたくない。



だから。



「花音、ちょっといい?」


花音を手招きして呼び、唯からちょっと離れたところで、コソコソ話を始める。



「どうしたの?希乃香」


「わっ、私ね」


「……うん?」



やばい、いざ口に出そうとすると、無駄に心臓の動き速まっちゃって苦しい。




「私、好きな人ができたの」


「へっ!?」


予想通り、驚く花音。



「どうしたの、いきなり!希乃香から恋のお話聞くなんて初めてで、驚いちゃった」


「うっ、うん。てか私が一番驚いてる。
 だから、その。……応援してね」


「当たり前だよ。
だって希乃香がはじめて好きになった人だもん。
 絶対叶ってほしい。」


「初めてっていうか……初恋は幼稚園の頃にしたよ」


「そんなの恋の数に入らないよ!
 その子の顔覚えてるの?」


「……鼻水垂らしてたことぐらいしか覚えてない」


「……ねえ、それって本当に好きだったの?」