「……ののか……希乃香だよね?」
後ろから、懐かしさを含んだ聞き慣れた声が聞こえてくる。
ゆっくりと振り返って、その声の主に目を向けると。
制服を着た一人の少女が、持っていたスマホをカシャンと地面に落とし。
もしかしたら画面にヒビが入ってるかもしれないのに、そんなのお構いなしに私を勢いよく抱き締めた。
「ちょっ、花音、人前で恥ずかしいよっ」
「希乃香だっ、本物の希乃香だ!!」
「ちょっと聞いてる?」
「もうっ、バカッ!!
全然学校に来ないし、心配したんだからねっ……!!」
通行人にチラチラ見られても、視線を気にせず私を抱き締めながら涙を溢す数ヶ月振りに会う親友は
なにも変わっていないほど、優しかった。
花音が落ち着くまで、背中を擦っていると。
心臓の音が、いつも通りのテンポで鳴り始めたのか。
取り乱したことを恥ずかしそうにしながら、花音は私から離れる。


