裏切り姫と恋の病






唯は優しかった。

今日初めて会ったのに
今まで出会ってきた人間の中で一番、私を海底のような暗闇から救いだしてくれてる。



「あり、がと」



震える声。


久しぶりに、誰かに素直になれた気がする。


そんな私の頭を三回軽く叩いた唯は。


「素直だと、可愛いんだな」と、恥ずかしげもなくそう言って、部屋から出ていった。



「~~っ!!」



あの男、女の扱いに慣れてるに違いない。


それもそのはず。


唯の顔は誰がどう見ても整っている。


赤を強調した茶髪は痛みを知らないほどサラサラで。


眉は細くも太くもなく、整え方に無駄がない。


目はぱっちり二重で、大きいはずなのに。性格のクールさのせいか、童顔には見えない。


鼻筋は通っていて、唇はリップをつけてもいないのに赤くて、肌の血色がとてもいい。


完璧。


久しぶりに本物のイケメンを見た気がする。


そんな人に助けられて、ときめかないはずがない。


だけど一番は……あの優しい性格に惹かれてる。



普通知りもしない女に、ここまでするかな?



きっと面倒見がいいんだろう。
だから暴走族の総長なんか務まるんだ。