すると、彼は何だか嫌そうな顔付きで、焼きそば屋台だって、と口を尖らせた。
暑いから気が乗らないだの、そもそも料理とか性に合わないだの、色々と愚痴をこぼす檜を見て、つい笑ってしまう。
「でも当日はちゃんと当番があるんでしょ? 檜は何の担当なの?」
「担当? 無いよ、そんなの」
「うそぉ、何か手伝いぐらいはあるでしょう?」
檜はクラスメイトの言葉を思い出し、こう答えた。
「俺はその時その場で何かあれば声かけるからって、一応言われてはいるけど。
多分暇だと思うよ」
ああ、めんどくさい、と言って檜は頭を掻いた。
きっとライブの事で頭がいっぱいなのだろう。
ーーしょうがないなぁ。
あたしはベッドから立ち上がり、化粧台の引き出しに仕舞っていた一つのカラーブロックを取り出し、彼に渡した。
「何これ?」
「知らない? ルービックキューブだよ?」
檜はあまり馴染みが無いからか、首を捻っていた。
白、黄色、青、赤、緑、橙の六色から成るカラーブロックを珍しそうに眺めている。
仕方なく、やり方を教えて、最終的にこの六面が全て違う色で統一できるんだよ、と説明した。



