ボーダーライン。Neo【中】


 たったそれだけの事で、少し心が満たされる。

「ご飯食べたら一緒にお風呂入ろ?」

 檜は下心丸出しの顔で、イヒヒと楽しそうに笑った。

 考えている事が大体分かる。

 ーーったく、エッチなんだから。

「檜、シャワー浴びて来たんじゃ無かったっけ?」

「いや〜、ほら。汗かいたし?」

 ーー何の汗よ。それにどうせ入ったってその後また汗かくのに。

 そう考え、ついつい顔を赤らめてしまう。檜とエッチする事を思い、恥ずかしくて目を逸らした。

 あたしの反応を見て、檜は「お」と気を良くした。

「お風呂は〜。幸子を抱いてからでいーから。一緒に入ろ?」

「……うん」

 檜と肌を合わせていれば、大体の不安は解消できた。

 けれど、あたし達を待ち受けるこの先の未来、結婚の二文字に関しては、やはり満たされる事は無かった。

 その日。檜と抱き合った後、彼から話の続きを聞かされた。

 集客アップについて。来月二日間に渡って行われる学校行事、“煌祭(きらめきさい)”を利用するかもしれない、と。