たったそれだけの事で、少し心が満たされる。
「ご飯食べたら一緒にお風呂入ろ?」
檜は下心丸出しの顔で、イヒヒと楽しそうに笑った。
考えている事が大体分かる。
ーーったく、エッチなんだから。
「檜、シャワー浴びて来たんじゃ無かったっけ?」
「いや〜、ほら。汗かいたし?」
ーー何の汗よ。それにどうせ入ったってその後また汗かくのに。
そう考え、ついつい顔を赤らめてしまう。檜とエッチする事を思い、恥ずかしくて目を逸らした。
あたしの反応を見て、檜は「お」と気を良くした。
「お風呂は〜。幸子を抱いてからでいーから。一緒に入ろ?」
「……うん」
檜と肌を合わせていれば、大体の不安は解消できた。
けれど、あたし達を待ち受けるこの先の未来、結婚の二文字に関しては、やはり満たされる事は無かった。
その日。檜と抱き合った後、彼から話の続きを聞かされた。
集客アップについて。来月二日間に渡って行われる学校行事、“煌祭”を利用するかもしれない、と。



