『社長のお達しで、仕事に関してはひとまず謹慎体制を取るから。今日の取材もキャンセルだ』

「分かった」

『暫くはホテルでの軟禁生活になるけど、良いよな?』

「ああ」

 竹ちゃんは、それから、と矢継ぎ早に言葉をついだ。

『事務所側の対応として、マスコミには否定の文書を送っておくけど。
 ……って言うか。そもそも笹峰優羽さんとは別に何も無いんだよな!?』

「無いよ」

 僕は弱々しく答え、片手で頭を抱えた。

 あの写真が撮られた経緯を、いずれは話さなければいけないけれど、きっぱりと否定で返した。

『そうか』

 笹峰さんとの熱愛を本気で疑っていた訳では無いだろうが、竹ちゃんの声には安堵が滲み出ていた。

『とりあえず詳しい事情説明は後回しにするとして、マスコミの取材はこっちで封じていくつもりだから』

「分かった」

『もし檜に直接接触する事があっても、何も喋るなよ?』

「ああ」

『じゃあ後でそっちに車回すから、荷造りだけしておいてくれ』

 了解、と返事をすると、プツンと回線が途切れた。

 脱力感が一気に全身を襲った。